Twitter ぼくらの本丸総合配信所 turubamijiku | ぼくらの本丸総合配信所 (@turubamijiku) のツイート

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──中の人より──

(三点リーダ(⋯)の処理をうっかりデフォルトのまま「…」にしてしまいました。まとめる時に訂正をします。誠にもうしわけない…)

──(w•`ᴗ •w)──

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ぐっと拳を握り、長谷部は廊下を数歩進み──そして、思い悩んだ。
「それにしてもミッチーとは⋯⋯、誰のことだ?」

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ㅤなんだか、核心を得ないまま審神者との面談が終わってしまった。まだ一度も出陣も演習訓練にも出ていない身ではあるが、今は本丸に慣れることを専決に行動した方が良いのかも知れない。兎に角、ミッチーなる者から本丸について聞き出し、主に毛布を届けねば。

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「長谷部クン、それはとても嬉しいことだ。ではミッチーから話を聞いた後、毛布をこのお部屋に持って来て貰おう。これは主命であるぞお」
 耐えられないとばかりに眼を閉じてしまった審神者をして、長谷部は「主命とあらば」と頷くと、部屋を出た。

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ㅤ実はちょっとこんな状況だった気がすると思ってしまったのは内緒だ。
「毛布……は、持ってきますか?」
 部屋が特別涼しいという訳ではなかったが、睡眠を取るのならば掛け布団の一つでもあった方が、快適にできるのではないだろうか。そう思って長谷部は尋ねた。

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それを思うと、苦々しい気分にもなる。そんな長谷部の原点であった。

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長谷部は少し焦ったように言った。審神者が言っているのは、粗相をして逃げた茶坊主が棚に逃げ込み、それを織田信長が刀で圧し斬ったという逸話のことだ。長谷部が「へし切」という名前を織田信長から賜るに至ったエピソードである。にも関わらず、あっさりと軍師に下げ渡されてしまった──

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「あ、これ、あなた様の由来にそっくりですなあ。長谷部クン、くれぐれもわたくしごと机を切断なんてしないでおくれよお」
 本当に大丈夫なのだろうかと机の下をのぞき込むと、審神者がそう言った。眼をぱっと開いて首をこちらに向けた姿だったので、少し不気味だった。
「な、しませんよ」

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言う間にも審神者はずるずると卓袱台の下に潜り込み、座布団を枕にすやすやと寝息を立て始めてしまった。シェルターとは言い得て妙で、俊敏な動きでこそ無かったものの、まるで逃げ込むかのように畳を這いずっていた。

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「そうかあ、長谷部クン、確かにここは危ない。それならば、これは、そう、地震対策! 机の下で毛布に包まれば安全シェルターのできあがり。目元も暗い、安眠効果! では、あとはミッチーにお話を聞くがよろしいで候。お休みなさい」

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ㅤ恐らくは審神者としての仕事──敵の分析や資料集め、部隊編成などをこの機械群で行っているのだろうが、随分と物々しい様相だった。

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審神者の柔らかい頭に落ちて来てしまったらと考えてしまったのだ。

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長谷部は障子側、審神者はその対面なので、部屋の奥側に座っていることになる。審神者の背後には、三つのモニターと六つのキーボード、そしてごてごてと張り巡らされたコードの数々があった。そのデスクに置かれた機械の数々は整頓されてはいるものの、何かの拍子でキーボードやスピーカーが、

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「そうだったのですか。わかりました。しかしそのままでは……」
 長谷部は安堵すると、審神者の頭上を見た。長谷部が審神者を向かい合っていたのは、部屋の中心に置かれた卓袱台だ。恐らく休憩の時や、こうして刀剣と対面するときに使っていたのだろう。

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「長谷部クン、大丈夫。ボクはワタシは審神者的に大丈夫! いやはやドッキリ大成功。ってことはないんだけどさあ、私最近すっごく寝不足なんだあ。頼りない主でごめんねえ。だからちょっと眠らせて欲しいんだ……」
 特に人体を著しく害していると言うわけではないらしい。

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ㅤ人為的に付喪神を発生させる。審神者の口から出たそんな言葉に、長谷部が意味を謀りかねていると、審神者が「もう無理だあ」と呻いて仰向けに倒れてしまった。
「あ、主? どうしたのですか!」
 思わず卓袱台から立ち上がり、審神者の側に寄る。審神者は眼を閉じて、眠りの体制に入っていた。

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ㅤ審神者の瞳は、ぐるぐると渦を巻くように濁っていた。しかしその時ばかりは渦の中心が、きらきらと銀河の星屑のように輝いていた。

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ㅤ審神者の瞳は、ぐるぐると渦を巻くように濁っていたが、その時ばかりはその渦の中心がきらきらと銀河の星屑のように輝いていた。

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ㅤそして長谷部が審神者から賜ったはじめての主命は、歴史改変阻止の戦いとはまったく無縁とは言わないものの、実に奇っ怪な申し出だった。
「実はね、人為的に付喪神を発生させてみたくてね。その実験の為に、長谷部くん、きみの協力が必要なんだ」

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ㅤ初めて表情にも変化が訪れた。唇が三日月のようにつり上がり、笑みを形作る。
「ありがたいねえ、ありがたいねえ。じゃあ早速、お願いしてもいいかなあ」
「ええ、なんなりとお申し付けください」
 審神者の言葉に、長谷部は張り切って頷いた。

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「いえ、なんでもありません。こうして御守りを拝領し、改めて主のお力になれるよう決意を新たにしたいと思っていたのです」
 その気持ちは決して嘘ではなかった。長谷部の言葉を受けて、審神者は三白眼気味の目を、更に見開いた。

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「長谷部クーン、おうい、わかったのかなあ?」
 長谷部が御守り片手に呆けていると、審神者が目の前で手を振った。胡乱な目つきをしている人間に正気を確かめられた。否、雰囲気はどうであれ、主は正気を保った人物なのだが。

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肉体を得たとき、強烈な恐怖のイメージが駆け巡ったのだ。死んではならない、と。
 取り返し。一体、何ならば取り返しがつくのだろう。この主は長谷部の生き死にに、どれだけ頓着するのだろうか。

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刀剣破壊でこの世から退場することを「死」と表現していいのか迷うところではある。それでも長谷部はなんとなく、この肉体が役目を終えることは、人間と同じように取り返しのつかないことなのではないかと感じてしまったのだ。

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ㅤ肉体の消失、という回りくどい表現に少々考え込んでしまったが、どうやらこの御守りには、簡単に言えば、死を防ぐ効果があるようだ。長谷部たちは自らの写身である刀剣を破壊まで追い込まれれば、人の身体を喪い、魂もどこかに消える。果たして元々人ならざる身である長谷部が、

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「はい、これをつけるように。出来れば使わずに帰ってきてほしいんだけどねえ」
 思わず両手を差し出して受けとると、それは「刀剣守」と刺繍されたごく普通の御守りだった。
「それをつけているとねえ、一回だけ肉体の消失を防いでくれるんだってさあ。どういう仕組みかわかんないんだけど」

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ㅤ先程よりも少しだけ早口になって言うと、審神者はポケットから手を出した。手には銀紙にくるまれた、シンプルな板状のチョコレートが──
「あ、ごめん。これはぼく、違った、わたくしのおやつ」
 さっと再びポケットに手を入れると、やっと目的のものを探り当てたらしい。主のポケットは広大だ。

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ㅤ本当に他人と関わるのが不得意なだけなのかもしれない。長谷部が気を使った訳ではないと言おうとして口を開こうとしたとき、「でも」と審神者が続けた。
「おぬし⋯⋯、長谷部くんが、とっても丁寧なひとだってことはよくわかった。これからヨロシク」

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「長谷部クン⋯⋯」
 審神者はポケットをまさぐるのを止め、顔を上げた。
「まだ会ったばかりなのに、そんなに気を使わせちゃってごめんねえ」
 審神者の口から出た言葉は、思いの外常識的だった。よくよく聴いてみれば、言い回しが独特なだけで、内容自体はどこにも妙な要素はないのだった。