Twitter 虚淵玄 Butch_Gen | 虚淵玄 (@Butch_Gen) のツイート

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虚淵玄@Butch_Gen

先日新型コロナで逝去しました父、和田周の戯曲集を、アニメイト様のご好意を賜りまして、明日7/11よりアニメイト秋葉原本館1Fニトロプラスストアにて無料配布させていただく運びとなりました。故人の思い出を一人でも多くの方と分かち合うこ… twitter.com/i/web/status/1…

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正直、ここんとこずっと脚本のお仕事ばっかりだったんで、また小説が書けるか不安だったんですが。案外なんとかなった気がします。たまには使ってない筋肉も動かしてみるもんですね!

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長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。どうか今後とも末永く「ラストオリジン」をよろしくお願いします。

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滅亡前のとある記録 アルカディアの乙女たち
――完――
#LO_DENSETSU

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モモに見守られながら、私は安息に身を委ねる。
それは冷たく、真っ暗な場所だったけれど、なぜか不快には感じなかった。
#LO_DENSETSU

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「なんだか、疲れちゃった…少し、眠るね」
「うん、おやすみなさい。良い夢を」
#LO_DENSETSU

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私は頷いた。
どうしようもなく空しい、遂げられる筈もない約束だと分かりきってはいたけれど。それでもモモの言葉は、満ち足りた安堵で私を癒やしてくれた。
#LO_DENSETSU

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だがモモは微笑んで――すべての希望を叶える魔法少女の微笑みで、私の言いかけた言葉を引き取ってくれた。
「その時は…私たち、きっと友達になれるよね?」
#LO_DENSETSU

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それがあまりにも馬鹿げた絵空事だと気付き、私は途中で言葉を切った。
もし仮にそんな日が来たとして、誰が私たちを培養槽から蘇らせてくれるのか。
人間たちの歪んだ夢の中にしか居場所のない私たちに、誰が再び生命を、生き様を選ぶ機会を与えてくれるというのか?
#LO_DENSETSU

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「…ねえ、いつか、誰も夢を見なくなったら…」
深く考えを巡らすでもなく、私は思いついたままを口にした。
「私たちに夢を課す人間たちが、一人もいなくなる日が来たら、そのときは…」
#LO_DENSETSU

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人間たちは享楽の夢を見続ける。私たちは戦わされ、使い捨てられ、そしてまた戦うために作り直される。その終わりのない循環の中で、今この時のように私がモモの優しさに触れられるチャンスは、もう二度と望めないのだろう。それを思うとやるせなかった。
#LO_DENSETSU

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「私もコロシアムでの身体の破損、再生費用の稟議が通るかどうか分からない。駄目なら来期の『モモ』は私じゃなくて、次の子が起用されると思う」
「そっか」
私も、モモも、同じ伝説興行社のバイオロイドである以上、その運命に大差はない。
#LO_DENSETSU

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「ポクル大魔王、だっけ?…次の私も、またあなたに酷いことをするんだよね?」
「そうかもしれないし…違うかも。そのときの私が『今の私』とも限らないし」
いつものことだけどね、とモモは苦笑した。
#LO_DENSETSU

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「ええ。話せて良かった。でも……」
私とモモの逢瀬は、この泡沫のひとときだけのもの。次に覚醒したときの私は、大魔王だか何だかに成り果てて、きっとモモを傷つけ、罵倒し、大切な物を奪ったりするのだろう。彼女を憎み、時には殺し殺されることすらあるのだろう。
#LO_DENSETSU

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「…ごめんね。つまらない質問だった」
「ううん、ありがとう。私もこうして話せて、やっと気持ちの整理ができたよ」
#LO_DENSETSU

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だから彼女は笑顔を絶やさない。地雷の破片に腹を抉られても、私の鞭で首を絞められても。その光景を期待し夢見る者たちのために微笑み、その願いを叶え続ける。
#LO_DENSETSU

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みんな――途轍もなく大きく、そして適切な主語だった。あの戦いを見守った皆。私たちの勇気を嘲り、私たちの苦痛を慰み者にした皆。そのために私を、モモを、アタランテを設計し世に出した皆。
「夢は…叶えなきゃいけないから。そのために私は生まれてきたから」
#LO_DENSETSU

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どうしようもなく酷い問いだったにも関わらす、モモはなぜか、ほっとした風に見えた。
「…それが、みんなの夢だったから」
#LO_DENSETSU

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結局、私と彼女とでは、“それ”を除いて他に選べる話題がないのだ。あまり困らせるのも気が引けたので、私から口火を切ることにした。
「何故、アタランテを殺したの?」
#LO_DENSETSU

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それでも、モモはさらに会話を続けるのが躊躇われたらしい。私と話したいと言っていたのに、まごついて俯くモモの沈黙は、やや気まずいものだった。
#LO_DENSETSU