Twitter まぐり Magriha | まぐり(Magriha) / 2016年9月9日のツイート

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最初の方に枝野が具合悪そうな描写入れよう

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「きもちいいっす」
同じ抑揚、同じ文言を呟く。

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失念していると枝野の手が上に重ねられた。
「テルさんの手……つめたくてきもちいいっす」
「そう。じゃあどこがツラいか言ってみて。触ってあげる」
「……首」
「首ね。了解」
先程のタオルで首の汗を軽く拭き取り、手の平を頸動脈辺りに当ててみた。生命の鳴動が手の平に刻まれる。

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冷却シートを貼ってやった。しばらくすると枝野の顔の強張りがなくなってきた。呼吸も安定してきて、発汗はまだあったが、異常というほどではない。徐々に赤みの引いてきた頬に触れてみた。
(……まだ熱い)
内部に熱が残っているようだ。冷却シートの替えを買ってこなくちゃ、と思って手を離すのを

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出しからケースに入った体温計を取り出した。
(冷却シートあったかな……)
棚の下の収納スペースにしまってある救急箱も出した。中を見てみると辛うじて一枚だけあった。使用期限も特に問題ない。すぐに枝野の下へ戻った。ぬるいというよりレンジで加熱したように熱くなったタオルを取り除き、

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していた。風邪だろうか。だとしたら正しく体温を測って対応しないと。一旦リビングに戻ろうと立ち上がった時、手を掴まれた。
「テルさん……行かないで」
「どこにも行かないよ。体温計取ってくるだけだから」
そう言うと枝野は低く唸り、名残惜しそうに手を離した。僕はリビングに戻り、棚の引き

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枝野の体をベッドに横たわらせた。薄いシーツを腰まで掛けてやり、水で濡らしたタオルを額においた。
「ごめん。うち氷枕が無くて……温くなったら言って。冷たいのに換えてくるから」
「はぁ……」
吐息とも返答とも判別付かない声を漏らし枝野は目を瞑った。呼吸が荒い。胸部がゆっくり大きく上下

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か。枝野の額は沸騰石を投入しておけば良かったと思うくらい唐突に沸き立った。耳まで真っ赤で頭から湯気が出て――さすがにそれはなかった。
「大丈夫? 横になる?」
「はい。ちょっと……」
「僕のベッドでいい?」
枝野は今度こそ本当に頭から湯気を出してふぁい……と力なく答えた。

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「……熱でもあるのか? ちょっとごめんよ」
「わ、わ……て、テルさん……!」
額に額を重ねた。古風ではあるけれどこうした方が体温が分かりやすいと母親がよくしてくれた。枝野の額は特に熱くもなく、冷たくもなかった。――くっつけた直後は。
「うわ熱!」
時間にして六秒といった所だろう

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「はい」
枝野の箸が真っ直ぐたまごに向かった。待て待て待て。
「枝野、それは半分こにしよう」
「え? ああ。たまご好きなんすね、テルさん」
「うん。特に黄身が好きだよ」
「えっ?」
枝野が割り箸を落とした。割り箸は替えがあるからいくら落としても構わないよ、とは言わなかった。

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枝野は肉まん、僕はピザまんを手に取り一口齧る。一口だけでは具に到達しなくて二口目を食む。柔らかい生地の向こう側にトマトとチーズの味が広がり、ピーマン、ベーコン、タマネギと目にも楽しい。
「寒かったからよけいに美味いっすね」
「けどおでん合わなかったかな? とりあえず食べて食べて」

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コンビニ袋から包装された箸を取り出し枝野に渡す。テーブルがやや広くておでんを取り分けるのに面倒だから椅子を横並びにした。枝野と隣り合って座る。まるで給食の時間のようだった。おでんの蓋を開けると湯気がたなびいた。だしの香りが鼻先を過ぎる。中華まんは肉まんとピザまんを一つずつ買った。

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デザインの異なるコップを一つずつ用意して、お互いの目の前に置いた。来客は家庭訪問の教員以外入れないから、揃いのコップが僕の家にはない。
「お茶でいいよね?」
「ああ、はい。どもッス」
落ち着きを取り戻した枝野は僕が注いだばかりのお茶を飲み始めた。
「はい、箸」

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大きい。そんなに体格差があったんだな、とワイシャツの枝野を見やった。確かに服の上から分かるほど枝野の肉体は筋肉に恵まれているし、上背もあるがそれを自分と比較した事はなかった。素で挑んだら僕は呆気なく地面に引き倒されるのだろうな、と想像してそんな未来は決して来ないと確信した。

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る青のハンガーがしっかりと握られていた。
「ほらほら。椅子の背もたれで皺になっちゃうよ。脱いで。掛けてあげるから」
脱力した手からハンガーを奪うのは容易だった。押したらそのまま床に倒れそうな枝野からブレザーを脱がしてハンガーに通した。僕のブレザーの隣に掛ける。こうして見ると一回り

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渡してみようか、などと考えていると枝野が一歩僕の部屋に足を踏み入れた。頑張れ、と無意識にエールを送る。枝野はハンガーを一本手にしてリビングに戻って来た。ひどく憔悴しているのは見間違いじゃない。糸が切れたように椅子に腰を落とし両腕を垂らして真っ白になっていた。しかし手には戦利品であ

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悪いわけではない。学年順位を見れば大抵真ん中より上の位置に名前がある。不良が蔓延ってるわりに黒酢中は偏差値が高かった。枝野はふらふらと覚束無い足取りで隣の部屋に行った。スライド式の戸を開け、一度そこで固まった。本格的に脳が熱暴走しているんじゃないかと不安になる。後で冷却シートを

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「隣の部屋?」
「僕の寝室、って言った方が正確かな?」
「寝室……?」
「寝るところだね」
「それくらい分かる……いや、分かりますよ!」
「だって意味が分からないみたいな顔してたから」
「脳の処理が追いつかなかっただけです」
低スペックだね、とは言わなかった。枝野は実は頭が

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「じゃあ……お邪魔します」
見慣れない家にやって来た猫みたいな慎重さと臆病さで枝野が中に進む。
「飲み物用意するから座って待ってて」
椅子を引き、誘導した。僕はブレザーを脱ぎ、リビングに常設してあるハンガーに掛けた。
「予備のハンガーが隣の部屋にあるから勝手に使って」

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違い面白い反応だ。

✕✕✕

「今、電気付けるねー。一応足元気を付けて」
途中で購入した中華まんやらおでんやらが入ったコンビニ袋をリビングテーブルに置き、玄関の枝野を振り返った。靴を履いたまま、中を見回している。
「早く入ってきなよ」
「あ、はい」
屈んで靴を揃えていた。

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とにかく春の始まりの風はまだ冬の名残を纏わせたままで何でもいいから寒さをしのげればいい、と脳が弾き出した言葉がそれだった。
「テルさんの家!?」
そう言って枝野が顔を上げた。そして至近距離の僕の顔を見て、固まる。謝ってばかりだけど固まってばかりでもある。これはこれで赤面する女子と

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風が体温も削り取っていくようだった。風除けになってくれるだろうと期待して気持ち程度、枝野の方へ距離を詰める。枝野は接近に気付かない。あえて気付かせる面白みも女子ほど感じないので放置した。
「帰りたいよ」
本音が口をついた。
「俺も」
独り言のように枝野が呟く。
「僕の家来る?」

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注意された時枝野がキレるかと思ったがそういう事もなく素直に退室した所を見ると風貌と違ってわりと常識的なようだ。
「すみません、テルさん」
「いいよ。もう」
「はは。何か俺、今日謝ってばっか」
自虐の笑みを浮かべ、枝野は地面に目を落とした。春とはいえ、まだ風は冷たい。頬を掠めていく

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を拭いていると注文を取りに来たウエイトレスと制服の意匠がやや異なるウエイトレスがやって来た。

✕✕✕

喫茶店を締め出された僕達は目的なくふらふらと歩き続け公園を見つけるとそこのベンチに座った。利用頻度こそ少ないものの出禁という措置を取られてしまうと何だか無性に惜しくなる。

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グラスを持ち、宙を見つめたままストローを咥えた。視界の端の端でようやく枝野の尖った頭頂部が見える。断片的に見ると黒いバランみたいだった。
「ぶはっ」
顎にコーヒーが伝う。
「ちょ、テルさん何やってるんスか! ああもう……!」
「お客様ー……」
枝野がおしぼりを渡してくれてネクタイ

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じゃあ、と一拍置いて枝野が演技っぽく咳払いをする。
「テルさんって今付き合ってる人はいますか?」
「枝野と喫茶店でおしゃべりに付き合わされてる」
「事実ですけど、正解じゃないですねそれ」
僕は溜め息を吐いて背もたれに寄り掛かった。
「いないよ。それが?」

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「で、何なの。聞きたい事って」
というか脱線に気付かないまま終点まで着てしまったけれど、今日集まったのは僕が枝野に話を聞く為であって枝野が僕に話を聞く為じゃない。奇妙な齟齬が生じたまま会話は続く。
「まあさっきの続きみたいになっちゃうかもしれないんですが」
「単刀直入に」

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を掴んで座り直させた。
「すみません、ふざけすぎました。違います、今のが聞きたかったわけではなくて。いや二番目に聞きたかった事でしたけど」
「大変だ。このままだと夕方の特売に間に合わないぞー」
「棒読みですね」
バレたか。チッ。口に出すと心象が悪いので心の中で舌打ちをしておいた。

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いたので口には出さないけれど、心で許しておいた。
「失礼ついでに後一つだけ質問があるんですけど」
おいおい青少年の悩み相談まで請け負ったわけじゃないぞ。
「テルさんって童て――」
けたたましいノイズが脳内に響き渡った。
「――ですか?」
「ごめん。ノーコメント」
席を立つ僕の手

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ハッと我に返り、辺りを見回した。他の客の詰るような視線に耐えかね、瞑目する。自分の心臓の音が耳に響く。幾分冷静さを欠いて調子が狂ってしまった。
「ごめん。大声出して」
「いや、俺の方こそすみません。勝手なイメージ押し付けちゃって」
片目で確認すると本当に申し訳なさそうな顔をして