Twitter 空蝉は電車にて哭く utusemi_train | 空蝉は電車にて哭く (@utusemi_train) のツイート

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空蝉は電車にて哭く@utusemi_train

空蝉は電車にて哭く 十・十一巡目・エピローグ | 空蝉は電車にて哭く #pixiv pixiv.net/novel/show.php…

これにて、シナリオ投稿は最後となります。
あらためまして、長らく当企画にお付き合い頂き、誠にありがとうございました!

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この度は創作企画「空蝉は電車にて哭く」に長らくのご乗車ありがとうございました。皆様に出会えたことを心より喜ばしく思います。
この企画が皆様の心に残れば幸いです。そしてくれぐれも猿と電車にはお気を付けください。
またのご乗車お待ちしております。
(車掌:マイケル)

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この度は「空蝉電車」へ、一年以上のご乗車、誠にありがとうございました。
皆様にご迷惑をお掛けする事もありましたが、こうして完走し、1人にとっての終点へ到着できたことを本当に嬉しく思います。
空蝉電車は、またどこかの誰かを乗せて動きます。
それでは、お気を付けて。
(運転士:納言)

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〈了〉

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──これは、終わることの無い、繰り返す電車の物語。

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「​ようこそ、“空蝉電車”へ」

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そうして、不意に少女の声が響いた。
彼らは、彼女らは、一斉に声の方へと視線を向ける。
黒髪に黒い制服、白い肌。ニヤニヤと意地悪く見える笑みを湛え、乱杭歯を覗かせる少女が、そこにいた。
「まずはご挨拶を」
恭しい一礼の後、少女はこう告げた。

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「初めまして、乗客の皆様方」

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彼女にとって、この電車の内装はどこか見覚えがある気がした。
つい最近、どこかでこんな光景を見たような。
「......え、嘘でしょ......?」
駅のベンチに誰かが忘れていった、一つのカメラ。
カメラに残された写真を思い出す。
顔が引きつる。

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電車が、揺れていた。
乗客は目を覚ます。電車に乗ったのは確かだったが、うっかり眠ったような記憶はない。
「……あれ、あたし......寝てた?」
妙に古ぼけた電車の中で、彼女は幾人の驚いた顔と目が合った。
誰しもが、ここはどこだと言いたげに目を見開いている。

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──がたん、ごとん。

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◇◇◇

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そうして、「電車に乗って、気がつくと見知らぬ電車に乗っている。その電車に乗ったが最後、もう生きて降りることはできない」という都市伝説が流行り出すのも、同じ頃の話だった。

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「駅で不思議なカメラが見つかった」
「不気味な写真ばかり残っている」
「その後は駅員に拾われて、ずっと行方知れず」
「この世に存在しない、とある電車の中を写した写真がある」
……そんな噂が囁かれるのは、また後の話だ。

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彼女たちが困惑し、やがてこの不気味な状況に悲鳴を上げ始めると、カメラは見計らったかのように、ぶつんと電源を落としてしまった。
そうして、その場で電源がつくことはもうなかった。

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それは、写りがひどく悪いものだ。
データが破損しているのか、ノイズが走ったように不明瞭でぐちゃぐちゃな写真が、そこにある。
かろうじて、身長差のあるらしい二人の人物が並んでいる……ということだけはぼんやりと分かる。
だが、はっきりと全ては分からない。

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がたがたと、カメラを持つ一人が震える。
何だこれは。おかしい。この写真に写る電車で、まるで殺人か何かが行われたような​──
「うわっ!?」
誰か一人が驚いた声を上げた。カメラを凝視している。
誰も操作していないのに、画面は勝手に次の写真を表示した。

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「何、これ」
無意識なのか、それとも勝手になのか。
写真はまた、電車内の風景を切り取ったものになる。今度は、明らかに妙だった。
床に、壁に、赤いものが散っていた。
手すりが曲がっていて、至るところに傷がついた車内の風景もある。
「え……」

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黒髪で、青い目の少年だ。笑う顔は、写真の中で綺麗に残っている。……妙なのは、まるで隣に誰かがいるかのように肩を組んだポーズをしていることだ。
他の写真にも、少年はいた。だが、まるで他に誰かが写っていたかのようなポーズばかりを撮っている。
女子高生たちの間に、怪訝な空気が流れ出した。

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風景写真だろうか。
それにしても、「古ぼけた電車の中」の写真しかないなんて。
「てか勝手に中身見たらダメっしょ」
「電源ついてたし、仕方ないじゃん。あとまあ……ちょっと気になって他のも見ちゃったけど」
「あ、人写ってるじゃん」
似たような風景の中、一人の少年のみ写るものがあった。

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その瞬間だった。
「あれ?電源入ってる?」
どうやら電源が入りっぱなしだったらしい。
画面を見れば、保存されている写真が表示されているのに気がつく。
「何これ?電車の中?」
覗き込んで、別の一人が言う。
その写真には、人が一人も写っていなかった。

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一人が指さした先に、カメラがある。
誰かの忘れ物だろうか。カメラマンが持つような、そんな本格的なものだ。
「駅員さんに届けた方がいいかもねー」
「めんどくさ〜」
「良いことしろよっ!」
はしゃぎながら、一人がカメラを手に取る。駅員に届けるためだ。

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◇◇

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……少年が立ち去った後の駅に、また電車が滑り込む。
ニュース番組を見ていた人物は、そのまま電車に乗り込んだ。雑談をする女子高生たちは、変わらずそこにいた。
ふと、雑談中の一人がベンチに置かれたそれに気がついた。
「あれ?誰かの忘れ物かな」

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小晦日徹様【@junk_liquor】が生還しました。

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これは、生還した少年が絶望を知る終わりの話。

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もつれる足で階段を駆け上がる。ぱらぱらと、外から音が鳴る。雨が、降ってきたらしい。
「結婚してね、徹さん」
まだ、俺は返事をしていない。
苦しくなる息を整えて、徹は改札を抜け、駅から飛び出して行った。

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「もう十八人も変死体で見つかってんの?怖すぎ!」
『依然として手がかりはなく、警察は更なる情報提供を​──』
耐え切れなくなって、徹は弾かれたように立ち上がり、駆け出した。
家に帰ろう。操はきっとそこにいる。
だから、大丈夫だ。俺はまだ操が死んだなんて信じない。見ていない。

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認めたくなかった現実が、やがてじわりと侵食してきた。
扉が閉まった。操は取り残された。すぐ後ろにいたのは、あの異形たちだ。
偶然なんて、奇跡なんて、そんなもの​──
ポケットに手をやれば、かさりと触れる袋の感覚があった。
夢ではない。現実だ。だから、きっと。